米国女子サッカー2部 SDパルセイロ:小瀬 和佳奈さん【後編】

弊社の女子サッカー事業の一つである、米国女子サッカー2部リーグに所属する「サンディエゴ・パルセイロ・レディース」のチーム運営。
SDパルセイロでは日米両国女子選手の育成の場、次のステップ進出へのきっかけを創造しており、毎年日本からも選手が参加しています。今年の参加選手が自ら活動の様子を、ウィークリーレポートにまとめてくれていますので、是非ご覧ください。
今回はウィーク⑦からのレポートです。

小瀬 和佳奈さんの
前編(ウィーク①~ウィーク③)はこちら
中編(ウィーク④~ウィーク⑥)はこちら

その他、チームの様子などは公式Twitter、またはInstagramをご覧ください。


ウィーク⑦

24日の土曜日にはホーム最終戦でアルビオンと戦いました。アウェイ戦で勝った相手でした。
先制点を奪われ、一点取り返して、最後にまた点を奪われて負けてしまいました。私はサイドのウィングとフォワードで出場しました。
ウィングは守備にも攻撃にも参加しなければいけないので必然的に持久力が必要になります。また、仲間とコミュニケーションをとって空いたスペースや相手を認識して共有しなければいけません。そんな中で仲間とコミュニケーションをとりながら守備をすることができましたが、ボールを奪ってから攻撃にも入る時に力強く前に走り出す動きができず、私自身、持久力と推進力が足りないと実感しました。

25日にはフルーツピックのボランティアに行きました。私はフルーツをとるのは初めてだったので農園に行くまでどんな様子なのか全然想像がつきませんでした。
農園に着くと、広大な土地にたくさんのオレンジの木がありました。農園の広さとオレンジの木の数にとても驚きました。私たち以外にもボランティアの方々が来ていてみんなで収穫できそうなオレンジを探し回って獲りました。朝の9:30から11:30までお手伝いしました。
最初の方は収穫が楽しく、一本の木が終わればすぐ次の木に行って獲りましたが、最後の方は疲れが出てきました。そう考えるとスーパーに行けばすぐに手に入る果物や野菜はこんな苦労がかかっているんだと改めて実感しました。特に日本のものは品質がいいのでそこまでこだわっていると考えると本当に当たり前でないと思います。
そして今回行った農園の方は獲れたオレンジをお金に困っていて食べられない方々に寄付するというものでした。
その日は合計で1500ポンド収穫し、それは約6,000食分の数でした。初めての経験で辛い時間帯もありましたが、こうして他の人々のためになっているとすごく嬉しいし、さらに他のボランティアにも挑戦したいと思いました。

27日、28日、29日は朝にチームの練習があり、午後にはサンディエゴパルセイロの監督が行っているキャンプのお手伝いをしました。
そのキャンプには6歳から12歳ぐらいの子供たちがおよそ30人参加していました。
キーパー、低学年、高学年のように3つのグループに分かれて3時間ほどの練習でした。1ヶ月前にもこのようなキャンプのお手伝いをさせてもらいましたが、その時は低学年の子どもたちのお手伝いだったので今回は高学年のグループのお手伝いをさせてもらいました。
高学年の子どもたちはサッカーを楽しむことはもちろん、上手くなりたいという向上心を持った子がたくさんいました。そんな中である男の子が私に積極的に「こんなプレーできる?」とか「これはどうやってやるの?」と声をかけてきてくれました。
私はこのような経験がなかったので最初はびっくりしたけれど、すごく嬉しかったです。英語での会話ができない私に対してその子は2日目、3日目もたくさん話しかけてきてくれました。できるものはできるだけわかりやすく教えることができましたが、やはり日本で勉強する英語と現地の英会話は全く違います。日常会話は単語と単語がくっついていたり、短縮されていたりと聞き取りが難しいと感じます。
このような日常会話の単語の知識も必要だと感じました。私のカタコトな英語でもアメリカの子どもたちは素直に聞いて、とにかくできないことができるようになるまで何度も何度もトライします。そんな姿に私は刺激をもらいました。
こうして最初はできなくても折れずにチャレンジし続けることは大切だと学びました。子どもたちからこのようなことを学べる機会は滅多にないことだと思うので大切にしていきたいと思います。たった3日間のお手伝いでしたが、すごく思い出に残るキャンプでした。

来週でサンディエゴパルセイロでの試合が終わります。サンディエゴパルセイロの選手たちは私たちにとても親切で、勝つために全力になれる人ばかりです。
私はそんなチームが大好きです。そんなみんなとできる試合が終わってしまうので、とにかく勝ちにこだわり、自分のできることチームのためにを発揮できるように頑張りたいと思います!ありがとうございました!

ウィーク⑧

30日にアウェイゲームがありました。ホーム戦では0-4で負けた相手だったのですごく気合いのはいる試合でした。
先制点を奪われましたが、一点取り返し、また、点を取られてしまいましたが、取り返し、結果は引き分けでした。ホーム戦で悔しい気持ちをした分、勝ち切りたかったのですが、惜しくも届きませんでした。
私はこの試合で2点目を決めてくれたチームメイトから学ぶことがありました。2点目を決めてくれた選手はメレという選手でいつも私たちに優しく話しかけてくれるお姉さんのような存在です。メレは練習の時からカットインをしてシュートを打つプレーをします。
試合の時もどんなにシュートが枠外に飛んでも、ディフェンスに当たったとしても何度も何度もその形からのシュートを打ち続けます。2点目はまさにこの形での得点でした。どんなにシュートを外しても打ち続ければ必ず得点につながる、必ず点を取ることができるということを学びました。
私も練習から常に試合をイメージして、得意な形でのプレーをどんなに失敗してもやり続けていこうと思います。

また、6月はプライドマンスといってLGBTQの方々たちが自分たちを誇りに思い、そうでない人たちが個性を認めることをパレードやイベントを通して強く伝える1ヶ月になります。私たちもレインボーのテーピングをみんなが巻いて試合に出場しました。このような経験を日本で身近に感じたことがなかったので、すごく新鮮でこのような活動はすごくいいことだなと思いました。

7月2日にはアウェイでリーグ最終戦がありました。サーフと戦いました。やはり、サーフの選手たちは個人技があり、その中でもスピードがありました。
このリーグを通して私は自分自身の弱さや、改善するべき点を多く実感しました。日本では通用していたプレーがアメリカでは通用しないこと、当たり負けない体づくり、足元の技術などです。
カレッジに入る前にこのようなことに気づくことができて良かったとポジティブに捉えて弱さを強さに変えられるよう、もっと鍛えていきたいと思います。

7月4日はアメリカ独立記念日で、アメリカでは祝日でした。私たちはキクガーデンにお弁当を作りのボランティアに行きました。
完成したお弁当を施設に暮らすおばあちゃんに届けると、「祝日なのに私たちのためにお弁当作って届けてくれてありがとうね〜」と言ってくれてすごく嬉しい気持ちになりました。ボランティアをやっていて本当に良かったと思いましたし、もっと人が喜んでくれることをしようと思いました。
夕方からいつもキクガーデンのお弁当作りでお世話になっているトシコさんがおうちに招待してくれました。私たち以外にもたくさんの人がトシコさんのお家に来ていてみんな楽しく過ごしていました。トシコさんはたくさんのお食事を用意してくれていました。久しぶりにおでんや塩おむすびを食べてすごく幸せな気持ちになりました。
多くの方々が私たちのことをお家に招待してご飯を振舞ってくれますが、当たり前なことではないです。残りは少なくなりましたが、常に感謝の気持ちを持って、ボランティア活動に取り組みたいと思います。 

あっという間に時間は過ぎ、もうすぐ帰国になりました。到着した5月のことを思うと生活にも慣れてきましたが、1日は思っているよりも本当にあっという間です。あと1週間の時間をどう過ごすか、何を学ぶかは自分次第です。この「慣れ」が悪い方向にならないよう律し、まだまだ多くのことを吸収できる日々にしたいと思います!
ありがとうございました!

ウィーク⑨

2週間前ほどにバルボアパークのジャパニーズガーデンに行きました!ずっと行きたいと思っていたところにやっと行けたので今になりますが、レポートしようと思います。
バルボアパークの中には有名なSan Diego Zooや美術館、宇宙のこと、自動車のことなどを学べる施設があり、ジャパニーズガーデンもそのうちのひとつでした。日本人である私がみても実際に日本にいるような感覚になるぐらいクオリティの高いものでした。
様々な国に日本を表現する場所があると思いますが、バルボアパークのジャパニーズガーデンは実際に昔に日本人が訪れて建てられたと聞きました。
入場に少し列ができるくらい人気で少し嬉しい気持ちになりました。中には松の木や大仏、盆栽そして鯉がいる池があり、まさかアメリカで鯉に出会えると思ってもいなかったので驚きましたし、アメリカにいるのに日本にいる感覚で不思議でした。

今週はサンディエゴパルセイロでの練習、試合がなかったのでサンディエゴを堪能しました。7月5日にサンディエゴの野球チームであるパドレスVSエンゼルスの試合を観に行きました。パドレスにはダルビッシュ選手、エンゼルスには大谷選手が所属していたので試合が始まる前からワクワクしていました。球場まで歩いて行ける距離だったのでさきこと一緒に歩いて行き、球場が近づくとパドレスやエンゼルスのユニホームを着た人たちにたくさん会い、球場に着くと試合前なのに多くの人で賑わっていました。
私は何度か日本のプロ野球の試合を観に行ったことがあります。日本のプロ野球は一塁側、三塁側でチームごとに分けられていますが、アメリカの野球観戦は全くそんな区切りはなく、すぐ隣の人はエンゼルスファンで、前の人はパドレスファンのようにみんなが混ざって応援していました。また、小さな子供から歳のとった方まで全員が観戦を楽しんでいました。試合ではとにかく大谷選手の存在感を肌で感じました。観客の中にはWBCの時に着ていたユニホームを着て応援してる方やアメリカ人の人が「OHTANI」の名前が入ったユニホームを着ていました。また、大谷選手の打席になると歓声があがっていました。同じ日本人である私は誇らしく思いましたし、すごく嬉しい気持ちになりました。試合はパドレスの勝利でした。2本のホームランもみることができたし、すごくいい経験になりました。

これで最終週になります。
まずは私のウィークリーレポートを読んでいただきありがとうございました!
毎週最後に書いていたと思いますが、あっという間に過ぎていってしまったという感覚です。しかしながら、1週目、2週目と読み返していくとこんなこともしたなぁと短いようで長かったなと感じます。本当にこの9週間が充実していたんだと実感します。オンザピッチ、オフザピッチで多くのことを吸収し、学ぶことができました。

オンザピッチでは、私自身の「弱さ」や「改善点」を多く得ることができました。アメリカでのサッカーの難しさや私の得意なプレーが通用しないという悔しさ、チームメイト自分の思いを伝えることのできないもどかしさです。
もっと個の技術、当たり負けない体づくり、アメリカ人のスピードについていくアジリティそして、チームの戦術を理解でき、自分の思いを伝えられる英語力を身につけなければならないと思いました。そんな中でもチームメイトには本当に助けられました。多くの選手が私たちに積極的に声をかけてきてくれました。遊びに連れていってくれたり、日本のことを知ろうとたくさん質問してくれたりとひとついいだしたらきりがないくらいみんなが優しく接してくれました。
しかし、これからはみんなの優しさに甘えているだけでは私自身成長できないと思います。カレッジに入ったら私から積極的にチームメイトに声をかけて、私はこういう人だと伝えていきたいと思います。
また、実際にアメリカに来たからこそ得ることのできた課題も多くありました。カレッジに入学する前の段階でこの課題を見つけることができて本当に良かったし、今後自分が向き合わなければならない壁を知ることができたのでこれから全力でぶつかり、乗り越えていきたいと思います。

オフザピッチでは、当たり前だったことが決して当たり前でないということを学びました。1週目から両親のありがたさを感じました。わからないことがあればすぐに教えてくれる父と時間になるとご飯を作ってくれる母の存在は大きいものだと実感しました。もちろん、アメリカのカレッジに入学させてもらえることもそうですが、こうしてカレッジに入学する前にリーグに参加させてもらえることも決して当たり前なことではない中で、快く参加を受け入れてくれた家族には本当に感謝しなければならないと思いました。そんな家族のためにもサッカーと勉強で結果を残したいと改めて思うことができました。

この2ヶ月は人生の中で1番楽しい2ヶ月でした。
たくさんの人たちとの「出逢い」があり、高校の後輩であるさきこと毎日ご飯を作って自分たちで自分たちを褒め合ったりしてとっても楽しい生活を送ることができました。そして、この期間に出逢うことのできた方々の期待をいい意味で裏切るぐらいの気持ちでこれからのカレッジでの生活を頑張っていきたいと思います!

最後になりますが、私たちのウィークリーレポートを読んでくださった方々、そして日本から応援してくださった方々ありがとうございました!