NATAを取得し、アスレティックトレーナーを目指した留学をする場合、アメリカで大学院まで卒業する必要があります。
アスレティックトレーナー留学の基本情報はこちらからご確認ください。
本ページでは大学院のアスレティックトレーナープログラムに出願する際の条件やプロセスをご紹介します。
以下の内容は全ての大学院への入学条件に該当するものではありません。一般的な例になりますので、詳細や最新情報は進学希望大学院のウェブサイトを確認するようにしてください。
大学院への出願条件
大学院への出願条件の例は以下の通りとなります。
大学院によって求められる細かな条件等は異なります。
- 学士号の取得
- GPA(成績が3.0以上)
- アスレティック・トレーニング・プログラム入学前に取るべき必須科目(以下必須科目の例)
- Human Anatomy
- Human Physiology
- Introduction to Psychology
- Statistics
- Nutrition
- Introduction to Biology
- Chemistry
- Physics
- First Aid & CPR
- Care and Prevention of Athletic Injuries
- Exercise Physiology
- Biomechanics 等
大学院アスレティックトレーニングプログラムへの出願条件
基本的なアスレティックトレーニングプログラムへの出願条件は以下の通りとなります。
- 最終学歴で全課程のGPA(評定平均)が3.0以上であること
- 日本の大学が最終学歴の場合はこれまでの全ての成績をWES(World Education Services)という第3者機関に提出し、アメリカでの単位に書き換える必要あり
- 大学での授業で全て「C」以上の成績を修めていること
- 最終学歴の成績証明書の提出
- カレッジ教授の推薦状3通
- 1通はカレッジの公認アスレティックトレーナーからのもの
- 志望動機のエッセイ
- アスレチックトレーナーを志望する理由、キャリア目標、アスレチックトレーナーとして成功するために自身が持っている特性が主な内容
- 履歴書
- 公認アスレティックトレーナーによる実習時間の記録(100時間以上)
- TOEFL iBT 80点またはDuolingo English Test 105点以上。
- GREスコア
日本の大学卒業後にアメリカの大学院へ進む方法
日本の大学を卒業した後、アメリカの大学院のアスレチックトレーニングプログラムに入ることは可能です。
ただし、上記の条件を満たしていないと直接の大学院進学は難しいのが現実です。
その対応策として、アメリカの2年制大学の在学を経由して条件を揃えていくことが考えられます。
弊社では、アスレティックトレーナープログラムに力を入れているマーセッドカレッジをお勧めしています。
マーセッドカレッジを経由し大学院を目指す
必須科目の単位取得
日本で学士号を取得している場合でも、アメリカの大学院進学の際は必須科目の単位取得が必要になります。これまで日本で履修した単位を変換できる可能性はありますが、日米での単位数の計算方法の違い等から単位が変換できないことが多くあります。
それだけではなく、一般生徒と違いアスレチックトレーナーの場合、トレーナーとしての実習時間を積む必要もあるため、マーセッドカレッジ在学中から学生トレーナーとして活動をし現場経験を積んでいくことが可能です。
以前、日本の学士号を取得後、マーセッドカレッジを経由し、大学院へ進学した学生の場合、マーセッドカレッジで約35単位(約1年で取得可能)取得したという例があります。
2年制大学だからといって2年間確実に在籍しなくてはいけないということではなく、あくまで条件を揃えるための期間在籍すれば良いという認識になります。
目指す大学院の必須科目がマーセッドカレッジにない場合は他大学でオンラインや対面で単位を取得する必要があります。
上記の必須科目の例をもとにすると、マーセッドカレッジではExercise PhysiologyとBiomechanicsの授業はありません。
しかし、アメリカの大学では、別の大学に正規の学生でなくとも授業を受けることが出来るシステムがあるため、これを利用して単位取得を目指していくことが可能です。
すでに学士号を取得している学生は、カリフォルニア州立大学やブリガムヤング大学、フレズノパシフィック大学(あくまで一例)などのオンラインコースでExercise PhysiologyやBiomechanicsなどの必須科目を履修していくことができます。
マーセッドカレッジで受講できるアスレティックトレーニングプログラム
以下はマーセッドカレッジで受講できるアスレティックトレーニングプログラムのクラスとおおよその難易度です。
①:とても簡単、②:簡単、③:普通、④:少し難しい、⑤:難しい
- ① KINE-03:Intro to Athletic Training
- 学生トレーナーとして実習に参加するためにはこのクラスを修了している必要があるため最初の学期に履修することを推奨
- ① PSYC-01A:Intro to Psychology
- ② MATH-10:Elementary Statistics
- ② NUTR-10:Nutrition
- ③ KINE-02:First Aid and CPR
- ③ BIOL-02:Human Biology
- ④ CHEM-02A:Introductory Chemistry
- ④ BIOL-16:General Human Anatomy
- 専門用語が多用され短期間に詰め込んで学ぶ為、ある程度英語が出来るようになって履修することを推奨
- ⑤ PHYS-02A:General Physics I
- 数学が好きな学生には簡単。物理の授業は数式を多用する為、数学が嫌いな学生には難しい
- ⑤ BIOL-18:Principles of Physiology
現地アスレチックトレーナーやカウンセラーの繋がりを活かした進路選択
日本から自力で自分が進学できる米国大学院を探すことは至難の業です。
過去には日本で学位を取得後、米国大学院に進学を目指し渡米したものの、結局大学院に受け入れてもらえず、米国の4年制大学で単位を取得しなおしたという例がありました。
一方で、マーセッドカレッジにはアスレチックトレーナーやカウンセラーが常駐しており、トレーナー同士や卒業生同士の繋がりもあります。
マーセッドカレッジに通い必要な単位を取得しつつ、トレーナーやカウンセラーに相談をしながら進路先を決定することで、「行ってみたら入学できないとわかった」というようなトラブルも少なく、スムーズに大学院生活をスタートできます。
特に国を跨ぐと単位移行や編入というのは非常に複雑なプロセスでありますので、アメリカ現地でなもの情報を入手したり、実際にキャンパスに足を運んだりしながら進路を決めていけることが理想です。
また、日本で取得した学位、単位が大学院で認められるかは外部の専門機関に英文成績証明書を提出し、審査してもらうことになります。
これには日本の大学から英文で証明書を取り寄せたり、場合によっては英文でのシラバスも必要となり、時間と手間がかかります。
必要な書類の取得等、時間に余裕をもって計画的に進めることが必要です。
過去の大学院進学生の例
マーセッドカレッジのアスレティックトレーナープログラムは日本人留学生の中でも人気の高いプログラムの1つです。
例年2~8名の日本人留学生がアスレティックトレーナーになることを目指し、マーセッドカレッジで実習に励んでおり、卒業後の4年制大学への進学や大学院進学を目指しています。
そんな中でも日本の大学を卒業後、アスレティックトレーナー資格を取得するためにマーセッドカレッジに在籍し、ウェスタンカロライナ大学の大学院に進学をした馬場小夏さんに「入学までのプロセス」「学校の選び方」について話を聞きました。
アスレティックトレーナーを目指したきっかけ
「私がアスレティックトレーナーを目指した理由は、大学時代に教育実習で母校に行ったことが始まりでした。
私は、高校・大学とバスケットボールの選手としてプレーして、教育実習でもバスケ部を受け持つことになりました。
母校では海外から留学している選手もいましたが、ある日その選手は足が痛いと言って病院に行くと前十字靭帯を損傷しながらこれまでプレーしていたことが分かりました。
選手に聞いたところ、母国では治療のしようがないため、痛みに耐えながらプレーしなければいけないとのことでした。
私はその実情を知り、そういった医療が発達していない国の子供たちのために、将来は現地で活動するアスレティックトレーナーになりたいと思ったことがきっかけです。」
これまでの進路
- 2019年3月
- 日本の大学を卒業
- 2019年6月
- マーセッドカレッジ付属の語学学校に入学
- 2020年1月
- マーセッドカレッジ入学
- 2022年5月
- マーセッドカレッジ卒業(単位取得&実習)
- 2022年6月
- ウェスタンカロライナ大学 大学院入学
大学院入学までのプロセス
2021年 9月 | 大学院リサーチ:気になったATプログラムの担当者に直接メールを送り、入学条件や奨学金の有無などを確認。 |
10月中旬 | ウェスタンカロライナ大学のアスレティックトレーニングプログラムに出願。 |
11月初旬 | 面接(Zoom:面接官4人受験者1人):面接官からいくつかの質問。 ・自己紹介 ・大学院のATプログラムでの目標 ・大学院を卒業した5年後、何をしていると思うか ・自己PR など |
12月初旬 | アスレティックトレーニングプログラムからの合格通知。 ウェスタンカロライナ大学大学院に出願:VISA、パスポート、銀行座残高証明、TOEFLスコア、エッセイ、マーセッドカレッジ教授からの推薦状、日本の大学の成績証明書等を提出。 |
12月中旬 | ウェスタンカロライナ大学大学院から合格通知 |
2022年 1月 | 寮やアパート探し。履修登録の準備。 |
6月 | 移動 |
大学院の選び方
「私の中で大学院を決めるポイントがいくつかありました。それは以下の4つになります。
- NCAA Division1
- 費用($9,793.50: 1学期)
- NATA試験合格率
- プログラム内容
アスレティックトレーナーになる為にはNATA(AT資格取得のための試験)を受験することが必須となっているのですが、ウェスタンカロライナ大学の大学院の特徴の一つが、この大学院の卒業生のNATAの合格率が98%であるということでした。私はこの合格率に惹かれました。
また、プログラム内容にも特徴があります。それは、人体解剖のクラスがあることです。アスレティックトレーナーとして人体について知る必要がある為、このプログラム内容は私の中で大きな決め手の一つとなりました。」
マーセッドカレッジのアスレティックトレーニングプログラムで学んだこと
「私は日本でバスケットボールのトレーナーのもとで学んだ経験がありました。
しかし、マーセッドカレッジでは、アスレティックトレーナーが1種目の競技のみを担当出来るというものではないため、様々な競技を担当することで対応力が身についたと思います。
競技によってケガの仕方や種類、頻度などが違ってくるからです。そのため、同じ箇所をケガしてもテーピングの巻き方など様々な違いがあります。それを瞬時に考えて行動する力は少しではありますが、身についたのではないかと思います。」
進学先での目標
「私は留学を志したときからアスレティックトレーナーになることを目標にここまで取り組んできました。
私は将来貧困地域の子供たちにメディカルケアをしたいと思っています。
そのためにも大学院では、2年制大学で学んだ内容以上に詳しくメディカルについて学ぶと思うので、そこでしっかりと知識を得て将来の糧にできればと思っています。」