米国女子サッカー2部 SDパルセイロ:小瀬 和佳奈さん【中編】
弊社の女子サッカー事業の一つである、米国女子サッカー2部リーグに所属する「サンディエゴ・パルセイロ・レディース」のチーム運営。
SDパルセイロでは日米両国女子選手の育成の場、次のステップ進出へのきっかけを創造しており、毎年日本からも選手が参加しています。今年の参加選手が自ら活動の様子を、ウィークリーレポートにまとめてくれていますので、是非ご覧ください。
今回はウィーク④からのレポートです。
小瀬 和佳奈さんの前編(ウィーク①~ウィーク③)はこちら
その他、チームの様子などは公式Twitter、またはInstagramをご覧ください。
ウィーク④
5月31日の水曜日にSan Diego Wave のホームゲームを観に行きました。
アメリカのプロの女子リーグの試合を観に行くのは初めてでした。スタジアムに着いたら選手たちがピッチでアップをしていて、私はその光景をみて、1番初めに4年後にこのようなピッチに立ちたいと心から思いました。
さらに、女子リーグでもスタジアムにはたくさんの観客が居ました。日本のWeリーグの試合を観に行ったことがありますが、比較できないほどの観客の多さでした。
試合が始まるとみんな声を出して応援したり、声援を送っていて、日本では応援団以外の声はあまり聞こえず、黙々と観ているイメージだったのでここでも日本とアメリカの違いを感じました。
6月4日の日曜日は初めてのアウェイ戦でした。
ゲームの前にチームでビデオミーティングをしてから会場に向かいました。ここまでの2試合とフォーメーションを変え、前からハイプレスをするという目的を持ち、みんなで相手のキープレーヤー、攻撃、守備の特徴をビデオで確認しました。立ち上がりは作戦通り前からプレスをかけ、相手のゴールを襲うような攻撃をできましたが、点を取ることはできませんでした。
途中で味方が退場してしまい、私たちのチームは10人で戦うこととなりました。公式戦で10人で戦うことは初めてで最初は焦ってしまいましたが、ハーフタイムに新しい戦術を考え、後半にいきました。
1人少ない状況だったので押される時間がかなり多かったです。そんな中で味方がボールを奪い、速攻でクロスをあげ、さきこがクロスに合わせてゴールを決めてくれました。先制点を奪えたこと、そしてなによりもさきこが決めたことがすごく嬉しかったです。その後は危ないシーンもディフェンスの選手が体を張ってゴールを守り続け、初勝利を掴みました。終わりのホイッスルが鳴ったときは嬉しくて泣きそうになりました。
やっとチームメイトともコミュニケーションをとったり私の良さや、みんなの良さを理解してきた中での勝利だったので日本で勝ったときとはまた違った喜びや嬉しさを感じました。
来週もまた、アウェイでの試合があります。初戦にホームで戦い、負けてしまった相手です。2敗は絶対にしたくありません。練習から試合だと思い、チームメイトとしっかりコミュニケーションをとって勝ちきり、来週のウィークリーレポートでいい報告をできるように頑張ります!
アメリカにきてから約1ヶ月が経ちました。感覚でいうと本当にあっという間です。
そんな中で、私は最近、周りの方々からたくさんの刺激を受けています。一緒に過ごしているさきこももちろんそうですし、チームメイト、そしてボランティアに参加させていただいたときにその場所で働く職員の方々もそうです。
私たちはボランティアでは基本的に日系人の方と多く関わります。みなさん、日本語も話せて英語も話せる方がほとんどです。英語で話している日本人の方をみると、言語の壁は壊せる、自分次第で突破できる。と実感します。
チームメイトからはポジティブ思考を感じます。これは、3戦目に勝ったからこそ気づけたことだと思います。今まで負けていましたが、試合後にはみんな笑顔です。もちろん、悔しい気持ちはあるとおもいます。しかし、無理矢理笑顔になってるという感じではなく、本当に「次の試合に向けて。」という前向きな姿勢を感じます。
わたしは日本で負けてしまうとダメだったプレーを思い出したり、「あの時あのプレーをしておけば」と後悔することが多いです。なので、アメリカ人のオンとオフの切り替えは本当にすごいと肌で感じます。私も自分のプレーを振り返るときはしっかり振り返り、試合の中でワンプレーでも後悔のないようなプレーをしようと思います。
そしてさきこからは「努力」という事を間近で学びました。さきこと毎日一緒にご飯を作り、トレーニングをして、勉強をしています。そんな中で、さきこには隙はありません。常にストイックで、試合をイメージしてトレーニングしているように思います。だからこそ、大事な場面で点がとれるのだと思います。そんなさきこをみているからこそ、点をとってくれて勝ったときには嬉しさが込み上げてきました。また、私ももっとやらないとと思うことも多くあります。
私自身、もっと自分と向き合い、突き詰められるところがたくさんあると思います。アメリカにいる時間を有効に使い、私もチームや周りのみんなに刺激を与えられるような選手、人間になりたいと思います。
ありがとうございました!
ウィーク⑤
8日の木曜日はチームメイトと自主練習をしました。先週の木曜日からチームメイトが自主練に誘ってくれて、毎週木曜日は練習してるからと言って私たちも誘ってくれています。いきなり日本から来た私たちを受け入れ、一緒に練習に誘ってくれるチームメイトには感謝しかありません。
今週は練習の送り迎えもしてくれました。練習の後にラホヤのダウンタウンで一緒にランチに行きました。
その後にはアメリカにあるお菓子を買って食べさせてくれ、グミとガムと口の中に入れるとぱちぱちするキャンディーに初挑戦。
どのお菓子もは日本にはないようないかにも「アメリカ」という味がしました。チームメイトは私たちがわかるように質問を何度も言ってくれたり、言い回しを変えたりして理解しやすいように話しかけてくれました。日本で人気なアーティストの話や家族の話などサッカー意外の面を知ることができました。
10日の土曜日にはアウェイゲームがありました。初戦にホームで戦ったSD Strikersでした。私はFWで出場しました。
味方キーパーからのパントキックやルーズボールの処理に課題があると感じました。体が小さい私はどんなに高くとんでも相手に先に触られてしまうシーンがいつもより多かったです。そんな時に後ろ向きの状況でも腕を使って相手を押さえて先にとぶなど、少しでも工夫して戦える選手になる必要があると感じました。
また、相手にとって「こわい選手」になることが最も重要だと実感しました。例えば、相手の背後に何度も何度も飛び出したり、ボールを持ったらどこからでもシュートを打つことができるなどです。
もちろん、チームスポーツなのでチームメイトと協力して点を奪うことは当たり前ですが、私がサッカーでキャリアを積んでいきたいと思っていますし、アメリカでするサッカーには「個の力」は必ず必要になってくると肌で感じました。
その日は試合の後に監督のお家で来れる人が来て夜ご飯を食べたり団らんをしました。チームメイト同士で学校の話から深いLGBTQの話もしていました。
自分の思うことを主張したり、こうであるべきだという話をしていたとあとから聞きました。私はその場では全然英語は聞き取れませんでした。スピードは早く、単語も自信を持って答えることはできませんでした。
しかし、これからアメリカで授業を受け、サッカーでコミュニケーションをとるためにはこの早さの英語を理解し、自分の言葉で意思を伝えなければなりません。自分からたくさんコミュニケーションをとりにいき、少しでもネイティブのはやさに慣れていきたいと思います。
また、今週の金曜日にはホームで試合があります。今リーグで初めて戦うチームです。相手の攻撃、守備の仕方を観察して相手の嫌なことができるプレー、貪欲にゴールを目指すプレーをしたいと思います。
残りは1ヶ月です。この1ヶ月で成長できるかできないかは自分次第です。1日はあっという間に終わります。1分1秒も無駄にしないようにここでまた気を引き締めていこうと思います。
ありがとうございました!
ウィーク⑥
今週は金曜日に試合があり、2試合ぶりのホームゲームでした。
先週に話した通り、今リーグで初めて戦う相手で結果からお話しすると0-4で負けてしまいました。
私自身ことような点差で負けたことがあまりなかったため、すごく悔しいです。前半に2失点してしまい、ハーフタイムではチームみんなで声をかけ、改善を試みましたが、後半にも追加で2点失点しまい試合が終わりました。
私はFWとして試合に出場しまし、多くのビッグチャンスがあったにも関わらず、何度も外してしまいました。あの時、点をしっかりと取れていれば、チームの流れ、雰囲気は変わったかもしれない、さらに士気が上がって追加点が取れたかもしれないと思うとFWとして責任を感じています。
外してしまうことには必ず理由があります。サッカーの技術としてもちろんそうですがメンタル面でも私が絶対決めるんだという強い気持ちを持つことが本当に大事だと改めて感じました。個人としてもチームとしても改善して残り3試合は全勝でリーグを終えられるようにしたいと思います。
日曜日にはサンディエゴウェーブ対エンジェルシティのホームゲームを観に行きました。試合前にイベントを行っていました。様々な会社などがテントをたてて無償でサングラスやタオルなどを配っていました。
私たちも会場を回って楽しみました。大人から子供までたくさんの人たちが試合前から来ていて、日本では滅多に観ないイベントだったので新鮮でしたし、ぜひ日本でもやるべきだなと思いました。
前にも一度ウェーブの試合を観にいきましたが、その時よりも観客がたくさん入っていて、観ている私もわくわくしました。試合はとても盛り上がり両チームとも得点シーンではやっぱりプロだな。と思う技術や一瞬の隙を逃さないプレーでの得点でした。
本当に4年後、私はこの舞台でサッカーしたいと思いました。
火曜日にはいつもキクガーデンの老人ホームでお世話になっているスティーブさんがお家に招待しくださり、夜ご飯をいただきました。
フィッシュタコという魚を間に挟んだタコスを食べました。初めて食べたのでとても美味しかったです。
スティーブさんは時間がある時は少しの時間でも私たちの試合を観に来てくれています。来れなかった日でも、試合はどうだったのかと聞いてくれます。
勝った時は一緒に喜んでくれて、負けてしまった時は次頑張ってといつも励ましてくれます。1ヶ月前にいきなり日本から来た私たちに優しくしてくれたり、気にかけてくれて本当に嬉しいですし、日本では考えられないです。
スティーブさんだけでなく、たくさんの方々が私たちのことを応援してくださっています。わたしはこの出会いを大切にしていきたいと思います。私たちはサッカーの結果が恩返しになると思います。そう思うと、気持ちも引き締まって勝利のために身を粉にして頑張ろうと思います。
ありがとうございました!